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■新種牡馬アンライバルドの活躍

 3月19日、中京競馬場で行われたファルコンS(G3・芝1400m)では、トウショウドラフタが、不良馬場に苦しむ先行勢を尻目に、中団待機からの差し切り勝ちを演じ、見事3連勝で重賞競走を制した。今後は、3歳マイル王決定戦のNHKマイルC(G1)に駒を進めるという。
 トウショウドラフタの父アンライバルドは、昨年2歳馬がデビューを果たした新鋭種牡馬。私の所属する会社の事務局種牡馬の活躍に、私をはじめスタッフは狂喜した。
 アンライバルドは、父にサンデー系2冠馬ネオユニヴァース、母はフサイチコンコルド、ミラクルアドマイヤなど成功種牡馬を送り出したバレークイーンという超良血馬。本馬は皐月賞、スプリングSを制するなど3歳春に大活躍をしたが、脚部不安で故障してからは往年の輝きを取り戻せず、6歳春からブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬として供用を開始した。
 私をはじめ会社スタッフは、本馬の血統や競走成績からもまずまずの配合数を集めるだろうと確信し、受胎条件50万円の種付料で申込を募ったのだが、当方の目論見とは裏腹に配合数は伸び悩み、初年度配合数は45頭にとどまった。私どもの営業力不足が、予測を外した原因の一番手ではあるのだが、「テンションが高いのでは……」という血統的な懸念を述べたり、「折り」の深い後肢を欠点として指摘したりする生産者もあり、2年目以降は種付料を30万円に値下げしたものの、配合数は低迷した。
 代表産駒のトウショウドラフタは、確かにテンションの高さがデビュー当初から懸念されていた。新馬戦は快勝したものの、その後は11着、7着、5着と振るわず、カッとなる性格が災いして大成を阻んでいた。それが5戦目のからまつ賞、6戦目のクロッカスSと、中団待機から差す競馬を覚え、そして馬もぐんと実が入った。トレセンでの調教も際立って動きが良くなり、急激に成長していったとオーナーサイドからの話も聞いていたが、先のレースの勝ち方からも、ますます充実の一途を辿っているように感じられた。
 ここまでの成長曲線は、父アンライバルドと瓜二つ。故障さえなければ、目指すG1戦NHKマイルCでも、さらにパワーアップした競馬を披露してくれるはずだ。

 実を言えば、トウショウドラフタの重賞勝ちまで、本年度の父アンライバルドの配合数はわずかに1頭。その初回種付の際は、笑ってしまうばかりの力みっぷりで、ワンワン騒いで背中から湯気が立ち上っても、一向に種付体勢が整わずまるで初めての種付を試みる新種牡馬のようであった。しかし、トウショウドラフタの優勝を機に、配合申込は急上昇カーブを描き始め、配合実数も3月末時点で14頭となり、去年の15頭にほぼ並んだ。種付も落ち着いてこなせるようになり、種牡馬としての貫録すら感じられるようになった。
 アンライバルドの初年度産駒数は23頭、うち中央デビューが15頭で勝ち馬5頭。持ち駒豊富と言えないところは辛いが、「少数精鋭」で種牡馬戦線を勝ち抜いていって欲しいと思う。
 昨年のスクリーンヒーローやブラックタイドなど、急激な種牡馬成績の上昇で、生産界を驚かせる種牡馬が相次いで出現する中で、アンライバルドがその名の通り「比類なき無敵の存在=Unrivaled」になれるかどうか、楽しみにしたい。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。