H28.2.20





■競争が激しさを増す新種牡馬導入

 12月1日、社台スタリオンステーションを退厩したシンボリクリスエスが、ブリーダーズスタリオンステーションに到着した。620キロの黒鹿毛の馬体は迫力十分で、堂々とした歩みでスタリオンスタッフの前に登場した。既に確固たる種牡馬実績を残しているシンボリクリスエスだが、その代表産駒である2014年のJC勝ち馬エピファネイアも、既に社台スタリオンステーションに入厩し、春からの供用に備えている。
 その春から供用される新種牡馬だが、近年になく数多くの競走馬が種牡馬入りしており、今から配合牝馬の争奪戦が始まっている。
 最大手の社台スタリオンステーション(安平町)には、前述のエピファネイアの他に、キズナ、フェノーメノ、スピルバーグ、リアルインパクトの全5頭が種牡馬入り。武豊を主戦ジョッキーとしていたダービー馬キズナは、既に余勢は満口となり初年度から高い人気を誇る。春の天皇賞を連覇したフェノーメノはステイゴールドの後継種牡馬。ディープインパクトの血を受け継ぐのが、スピルバーグとリアルインパクトだが、どちらもマイル〜中距離において活躍し、その鋭い瞬発力と豊かなスピードは、産駒に色濃く受け継がれることだろう。
 ブリーダーズスタリオンステーション(日高町)には、アグネスタキオンの後継馬グランデッツァが種牡馬入り。芝1800mの日本レコードを持つ重賞3勝の実力馬で、半姉に桜花賞馬マルセリーナがいる母系も魅力十分だ。実績ある人気種牡馬ゼンノロブロイも、シンボリクリスエスともども社台スタリオンステーションから転厩してきた。
 優駿スタリオンステーション(新冠町)には、カレンブラックヒル、トゥザワールド、タイセイレジェンドが種牡馬入り。ダイワメジャー産駒のカレンブラックヒルはNHKマイルCを制し、続く秋の毎日王冠にも優勝し、デビューから5連勝を飾った実力馬だ。新冠町のハシモトファームには、マジンプロスパーが入厩した。
 ビッグレッドファーム(新冠町)では、ゴールドシップの導入が決定している。既にシンジケートも結成されており、現役最終戦の有馬記念でいったいどんな走りを見せてくれるだろうか。
 静内地区を見てみよう。日本軽種馬協会には、ジャイアンツコーズウェイを父に持つ実力種牡馬エスケンデレヤが導入された。アロースタッドでは、ワールドエース、トウケイヘイローの導入が決定している。ワールドエースは、世代トップクラスの能力を持ちながら大きなタイトルは取れなかったが、日高の若手生産者から嘱望されての種牡馬入りとなった。レックススタッドには、ニホンピロアワーズ、セイクリムズン、ヴァンセンヌ、コパノリチャードが種牡馬入り。ニホンピロアワーズはダート中距離、セイクリムズンはダート短距離で活躍した。
 浦河地区のイーストスタッドには、マジェスティックウォリアー、グランシュヴァリエが種牡馬入りする。エーピーインディを父に持つマジェスティックウォリアーは、米ホープフルSの勝ち馬で、既にケンタッキーオークス馬などの活躍馬を送り出している。イーストスタッドは、前年のダンカークに続く2年連続の外国産種牡馬の導入となる。
 私が把握する限り、新種牡馬は20頭を数える。さらに何頭かの上積みがあるだろうから、ここ最近の中では最も多い新種牡馬数になるだろう。また、社台スタリオンステーションへの種付申込みも例年以上のペースで増えていると聞く。軽種馬協会のエンパイアメーカー輸出の影響で、従来であれば同馬へ流れていた申込分がそのまま社台スタリオンステーション繋養種牡馬への申込増に直結したということらしい。いずれにせよ、14年、15年と、セリでの当歳馬や1歳馬の売れ行きも好調の上、日高の軽種馬経済もまずまずの水準にはあり、そういった中での種牡馬の大量導入は、種牡馬間の競争を激化させることとなろう。
 その一方で、浦河地区の老舗種馬場である日高スタリオンステーションの閉鎖の話が伝わってきた。古くはネヴァービート、ラッキーソブリン、ナイスダンサー等を擁し、浦河地区の基幹種馬場の一つとして運営されていたのだが、時代の流れの中で寂しい結末を迎えることになった。種牡馬、そして種馬場ともに激しい競争の中で、春の種付シーズンを迎えることとなる。
遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。