H24.10.23





■ステイゴールド大種牡馬へ - 現役時同様、徐々に真価を発揮

 10月7日、凱旋門賞に出走したオルフェーヴルは、直線早めに先頭に立って後続を引き離しにかかったものの、4歳牝馬ソレミアにゴール前交わされて2着に惜敗した。大変悔しい結果ではあったが、欧州の競馬関係者にオルフェーヴルの強さを存分に披露したと思う。関係者の方々の努力に賞賛を贈りたい。
 オルフェーヴルの父ステイゴールドは当社事務局種牡馬だが、その産駒の活躍は素晴らしいものがある。今年に限っても、3歳勢では、ゴールドシップ(皐月賞、神戸新聞杯)、フェノーメノ(セントライト記念、ダービー2着)、古馬勢ではナカヤマナイト(オールカマー)などがターフを席巻し、この秋のGI戦線でもさらに活躍の版図を広げていくことに違いない。
 種牡馬入り当時、ステイゴールドの評価はさほど高いものではなかった。名脇役として人気はあったが、GI競走を総なめにする産駒が続出したSS全盛時代にあって、決め手に欠けて重賞入着を繰り返す小柄な牡馬への注目度は低かった。ドバイシーマクラシックでファンタスティックライトを競り負かした直後、平成13年5月に現役のままシンジケート(1株750万円・60株)が結成された。このときもシンジケート申込が殺到するといったこともなく、淡々とシンジケートが組み上がっていったことが記憶に残っている。
 京都大賞典では、現役最強のテイエムオペラオーに完勝したものの、ナリタトップロードを斜行で落馬させて失格になるなど、破天荒なレースぶりで勝てずじまい。そして、現役最終戦に香港遠征を選択することとなった。その香港ヴァーズでは、絶望的な位置取りから直線剛脚を繰り出し、劇的な勝利を収めた。インパクトに満ちたこの勝ち方がステイゴールドの種牡馬としての評価を急上昇させた。同レース優勝直後から余勢(受胎条件150万円)の申込が殺到し、初年度の平成14年は、ブリーダーズスタリオンの当時の配合新記録となる177頭もの配合牝馬を集めることとなった。
 以後115頭、87頭、146頭と種付をこなし、平成17年に初年度産駒がデビューを果たす。ところがデビュー初年度は派手な活躍をする産駒も出現せず、勝ち星こそ上げていたものの地味な存在で、ダート競馬は不振ともいえる成績だった。ステイゴールドの現役時代のイメージからも、産駒はやや奥手でダートよりも芝向きのタイプと思われており、ある意味妥当な種牡馬成績でもあった。実際に産駒の初重賞勝ちは、翌18年6月のソリッドプラチナム(マーメイドS)まで待つことになる。
 低空飛行気味だったステイゴールドの種牡馬成績が持ち直したのは、ドリームジャーニーが登場してからだ。平成18年の朝日杯フューチュリティSに優勝して最優秀2歳牡馬になったドリームジャーニーは、2歳戦不向きのイメージだったステイゴールドに対する生産界の印象を一変させた。同馬は古馬になって宝塚記念、有馬記念と上級GIレースに優勝し、父の評価をさらに高めた。実際、平成18年に100万円(受胎条件)まで下落した種付料は翌年には300万円となり、93頭だった配合数も128頭に急増した。
 その後、ナカヤマフェスタが宝塚記念を制し、凱旋門賞でも僅差の2着に健闘。シルクメビウスは東海Sに優勝して不得手と思われたダートをこなす産駒も登場。ステイゴールド自身の競走成績の歩みと同一歩調を示すように、種牡馬成績も一歩一歩階段を駆け上がっていく。
 猛獣のような猛々しい気性、ネコ科の動物のような柔らかでバネの効いた身のこなし、タフに50戦しても故障ひとつなかった身体の強さ、多頭数交配を物ともしない精力の強さと受精能力の高さ、これらステイゴールドの特徴(父サンデーサイレンスの特徴でもある)が産駒に色濃く受け継がれ、実戦、特に大レースにおいて素晴らしいパフォーマンスを見せる原動力になっている。
 シンジケートメンバーが少数で、しかも社台グループ、ビッグレッドファームなど、生産界をリードする面々が大口シェアホールダーであったことも功を奏したようだ。
 そして、平成23年にオルフェーヴルが登場し、さらに種牡馬として大きく躍進する。(この項続く)

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。