H20.11.17





■来春に向けステイ絶好調 −新種牡馬はキンカメ&ネオユニ
  
 秋競馬の本格化とともに種牡馬ランキングにも注目が集まっている。 秋の産駒成績が暮れに発表される社台スタリオンけい養種牡馬の来春の種付料に大きく反映され、 各地の大手スタリオンでもそれを見定めたうえで供用する種牡馬の種付料を決定することになるからだ。 この秋に 「目立つ」 種牡馬を何頭かピックアップしてみたい。

 いささか手前味噌になるが、 私の勤務する(株)サラブレッドブリーダーズクラブが事務局となっている種牡馬ステイゴールド産駒の活躍が目覚しい。
 9月15日、 朝日チャレンジC (GIII・阪神) でドリームジャーニー (牡4歳) が直線一気の差し切りを演じ、 小倉記念 (JpnIII) に続いて重賞を連勝した。 翌週のローズS (JpnII・阪神) は、 マイネレーツェル (牝3歳) が桜花賞馬レジネッタ、 オークス馬トールポピーらを抑えて優勝。 ステイゴールド産駒が秋初頭の重賞を連覇したのだ。
 ドリームジャーニーは天皇賞・秋、 マイネレーツェルは秋華賞に出走を予定しているが、 前哨戦を快勝した両馬は本番でも有力馬の1頭として人気を集めることになるだろう。
 ステイゴールド産駒は今年、 サンライズマックスがエプソムC (GIII)、 アルコセニョーラが新潟記念 (GIII) に優勝し、 ドリームジャーニーとマイネレーツェルそれぞれの重賞2勝を加算すると、 ここまで重賞競走を6勝したことになる。
 産駒はいずれも、 長く使える脚と切れを武器にし、 ゴール前の闘争心に優れた能力を見せている。 ステイゴールドは、 現役時代にはシルバーコレクター、 ブロンズコレクターと揶揄されたほど2着や3着が多く、 切れや闘争心に欠けるようなイメージが強かったのだが、 今思えば競走馬としての能力を遺憾なく発揮したのは、 現役最終盤の数戦 (ドバイシーマクラシック・GII優勝、 香港ヴァーズ・GI優勝など) であり、 それ以前の数十戦は 「眠れる獅子」 ともいえるような 「爪を隠した」 競馬を続けていたのだろう。
 芝中距離戦 (1800〜2400メートル) に良績があるのも大きな特徴だが、 逆に冬場のダート戦は振るわない。 その産駒は父に似て小柄な馬が多く、 これが産駒の故障が少ないといったメリットにも結びついている。
 現在、 JRAサイアーランキングでは17位だが、 上位ランクの種牡馬と比べると産駒出走頭数は半分程度のうえ、 1・48というアーニングインデックスから推し量れるように、 種牡馬としての能力は上位種牡馬に劣らないものがある。 いまや、 アグネスタキオンやフジキセキに続いて第3のサンデーサイレンス系種牡馬としての地歩を固めつつあるステイゴールド。 今後の活躍を大いに注目したい。

 2歳種牡馬ランキングでは、 新種牡馬キングカメハメハが第2位にランクされている。 すでにJRAで10勝をマークし、 フィフスペトルは新馬戦を快勝したあと函館2歳S (JpnIII) を連勝するなど、 本年デビューの新種牡馬組のなかでは頭ひとつ抜け出した存在とっている。
 とはいえ、 キングカメハメハの現役時の成績 (NHKマイルCと日本ダービーをレースレコードで圧勝) を考えれば、 この成績はまだまだ序の口といった感じではある。 非サンデーサイレンス系の種牡馬 (父はミスタープロスペクター直仔のキングマンボ) として生産界からの需要は大変高く、 すでに年間種付数256頭という日本記録を2006年に達成している。 今後デビューする産駒にはさらなる大物が控えているはずだ。
 札幌2歳S(JpnIII)では、 新種牡馬ネオユニヴァース産駒のロジユニヴァースが、 阪神競馬場での新馬戦以来となる3カ月ぶりのレースを26キロ増の馬体重をものともせずに優勝した。
 ネオユニヴァース産駒はここまで35頭がデビューしたが、 勝ち馬は5頭とやや出遅れ感があった。 しかし、 この札幌2歳S制覇は強烈な印象を与えるものになった。 もともとネオユニヴァース自身が3歳春に本格化して皐月賞、 ダービーを連勝したことを考えれば、 その産駒の本格化もこれからだろう。 産駒の勝ち鞍も現時点で芝1800メートルでの勝利が多数を占めており、 距離が伸びて本領発揮を発揮するタイプのようだ。
 10月初頭の時点で、 新種牡馬ではキングカメハメハとネオユニヴァースの2頭がリードした存在となっており、 続いてプリサイスエンド(4勝)、 イーグルカフェ(2
勝)、 メジロベイリー(2勝) といったところがJRAで勝ち星を挙げている。
 いずれにせよ、 新種牡馬たちの戦いは始まったばかり。 この秋の成績いかんで来春の種付料や配合見込み数が決まってくるわけで、 今後まだまだ熱い戦いが続くことになるだろう。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。