H19.8.31





■10回目を迎えたセレクトセール −1歳市場のさらなる充実に向けて

 7月9日から3日間にわたって開催された 「セレクトセール2007」 は大盛況のうちに幕を閉じた。
 初日の1歳市場は、 上場馬150頭のうち108頭が売却され、 売却率は72.0%、 取引総額は34億4862万円 (消費税込み・以下同じ) を記録。 続く2日間の当歳市場では、 317頭のうち240頭が売却され、 売却率は74.7%、 総額87億712万円となった。
 延べ3日間では、 467頭の上場で348頭が売却されて売却率は74.5%、 取引総額は121億5574万円を記録した。 総売上は昨年度のレコードを1億8600万円あまり下回ったものの、 売却数は18頭増加して、 売却率も4.11%上昇した。
 3億1500万円で落札された 「マイケイティーズの2007」 を筆頭にミリオンホースも13頭出現した。 全体としては、 平均落札価格は前回よりやや低下したものの、 1歳市場での売却率が5.9%上昇したことにうかがえるように、 社台グループ以外の上場馬の売却率が大幅に上昇している。 また、 中間価格帯の馬が多く出て購買者の方々にも参加しやすいセールとなって、 購買者、 上場者双方にとって、 大変満足のいく結果になったのではないだろうか。
 セレクトセールも10回目を数え、 セール発足時と比べて運営方法も大きく変わった。 特に再開2年目を迎えた1歳市場は、 一斉展示の廃止など、 今年から運営方法が大幅に変わった。
 最大の変化が事前入厩、 事前展示の導入だ。 欧米にならって上場馬の入厩をセール開催日以前として、 バイヤーの方々はセール前に厩舎を訪問し、 見たい馬を馬房から引き出してもらって、 入念に下見ができるようになったのだ。
 この事前下見の良い点は、 時間の許す限り、 お目当ての馬をチェックし、 それに連動してレポジトリー (四肢のレントゲン写真、 上部気道動画の閲覧室) の資料を閲覧できることにある。 実際、 セリ前日の日曜日には、 午前中に厩舎で馬をじっくり下見したあと、 午後はレポジトリーに缶詰になって、 該当馬の画像資料をチェックするバイヤーグループがいくつも見受けられた。
 また、 コンサイナーごとに厩舎と馬房を振り分けたことによって、 コンサイナー独自の営業活動や厩舎の飾り付けも盛んに行われ、 展示会場周辺は華やいだ雰囲気になった。
 各コンサイナーは、 工夫を凝らした広告パネルを作成して厩舎に花を飾り、 厩舎脇に設営したテントに飲み物などもそろえ、 バイヤーの方々の接遇に当たっていた。 その光景は、 まさに世界最大のセール 「キーンランドセプテンバーセール」 そのものだった。
 欧米の主流である1歳 (イヤリング) 市場では、 セール上場を請け負ったコンサイナーが、 生後1年経過した馬を、 適度な感性を持つ素晴らしい馬体に仕上げ、 最上の状態でセールに出品することに主眼が置かれている。 セレクトセールでもその点は顕著になってきたようで、 血統に重きの置かれる当歳市場と比べると、 1歳市場では 「血統+馬体」 というプラスαの部分が馬の売れ行きを大きく左右することになりつつある。
 一部コンサイナーの馬づくりの確かさは、 昨年のHBAセールでも際立っていたが、 今回のセレクトセールでもそれらコンサイナーの上場馬の群を抜くボディ・コンディションは大いに人目を引いたようで、 他のコンサイナーからも賞賛の声が上がっていた。
 今回導入したこの事前展示は、 馬産地全体にとって、 セールに上場するための馬づくりや広告、 営業活動のあり方にも影響を与え、 コンサイナー同士のさらなる競争も促し、 セールの活性化の一因となることだろう。 また、1歳市場の売買実績の上昇は、 来年度の1歳市場の上場馬の質的向上に大きく影響するものと思う。
 本年は香港のバイヤーが1歳馬を1頭購買したが、 グローバル・スタンダードであるイヤリングセールの充実は、 海外を含めてさらに多くのバイヤーの市場参加につながっていくはずだ。
「最上級の素晴らしい馬を公明正大な舞台に上場させ、 誰もがセールに参加できるように――」
 セレクトセールの成功のキーセンテンスをさらに強固なものとするためにも、 1歳市場の一層の充実が図られていくものと思う。
 最後にこの場を借りまして、 セールに参加された購買者の皆様、 上場いただきました生産者、 コンサイナーの皆様に、 心よりお礼を申し上げます。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。