H18.4.29





■春の日高点描−1歳市場に迷う生産者たち

 今年は例年になく春の訪れが遅い。 除雪した雪の塊が4月上旬になっても消えないのは、 いつ以来のことになるだろうか。
 それでも馬産地のカレンダーは日一日と進行し、 出産、 種付けシーズンの真っ只中とあって、 会社の前の国道を馬運車が東に西に行き来している。 ばたばたと忙しく、 慌ただしい日が続くのは馬産地の春の日常風景でもあるのだが、 そんななかで見聞した出来事をいくつか拾い上げてみたい。

道営の能検 頭数そろわず
 4月19日から新年度の道営競馬が開催される。 4月開催は門別で4日間限りの開催でもあり、 5月の札幌・ゴールデンウィークからが本格始動といった感じではあるが、 今年は例年以上に能力検定試験 (能検) への出走頭数が少なく、 開幕週の番組の質的低下が懸念されている。
 存続の瀬戸際にある道営競馬は、 優勝賞金をはじめ報償費の金額をここ数年、 馬主の方々にとって大変厳しい水準で運営してきているが、 そのつけが馬主の方々の競馬へのモチベーションに影を落としているらしい。
 関係者によると、 入厩頭数は前年の水準に追いついてきたのだが、 調教が遅れている馬が全体的に多いとのこと。 中央の函館開催の交流レースを視野に入れて、 使い出しを遅くしたい意向の厩舎や馬主が多く、 開幕週から張り切って競馬を使うといった感じではないのだそうだ。
 このままでは、 開催初日から少頭数の面白みに欠けるレースしか組めないことになり、 売り上げアップが至上命題の道営競馬にとって、 スタートダッシュに失敗して大きく出遅れることになりかねない。

セレクトかセレクションか
 当協会の1歳市場開催に対しては、 生産者の方々にも俄然注目していただいているのだが、 ここで生産者にとって大変悩ましい問題が生じてしまった。 当協会主催の 「セレクトセール」 と軽種馬農協主催の 「セレクションセール」 へのダブル登録ができないがために、 生産者の方々がどちらに上場すべきか大変お迷いになっているようなのだ。
 両セールとも選抜市場なので、 申込みをしても確実に上場される保証はない。 生産者としては、 両方のセールに申込みをしてどちらかに合格すれば、 とそろばんをはじきたいところなのだが…。 選定委員でもなんでもない私に対し、「この血統の馬ならどう思う?」 とお尋ねになる生産者のお気持ちは痛いほどわかる。

アフリートは元気一杯
 いささか手前味噌な話で恐縮だが、 ブリーダーズスタリオン繋養のアフリートが元気一杯に種付けをこなしている。 今年22歳のアフリートだが、 馬体的にも老いを感じさせることもなく、 4月10日現在、 種付けも48頭を消化している。 しかも、 受胎率も驚異的に高く (おそらく当スタリオンで一番)、 彼の頑張りには本当に頭が下がる。
 今年はフリーリターン分を含め70頭前後の配合を予定しているが、 とにかく一日でも長く現役種牡馬としてがんばってほしいと願うばかりだ。 大先輩ノーザンテーストは、 何と26歳時に65頭もの配合をこなした。 アフリートも大先輩にぜひ続いてほしいと願わずにはいられない。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。