H17.10.25


■苦戦する北海道競馬−諮問委の答申が唯一の救い

 
北海道競馬の発売実績が芳しくない。
 10月11日現在、 今年度の北海道競馬は74日間の開催で発売総額は98億200万円余りを記録しているが、 この数字は計画対比では15億5000万円減 (13・7%減) という厳しいものだ。 今年の発売計画は、 競馬主催者が定めた再建5カ年計画の最終年度ということもあって前年実績に18億円もの上積みがなされ、131億円になっていた。 発売計画の達成は当初から相当厳しいと考えられていたが、 加えて前年実績対比が2億4600万円余り (2・5%減) も減少しており、 実売成績でも3年ぶりの前年割れとなりそうな気配なのだ。
 平成13年以降、 北海道競馬は、 再建に向けてさまざまな取り組みを行ってきた。 まず収益拡大事業として、 新式馬券 (3連単) の導入、 ミニ場外の開設、 道外発売の拡大などを実施してきた。 馬産地サイドでも、 競馬運営改善対策室が事務局を務める 「サポーター制度」 の導入や、 JBC協会が中心となって日本軽種馬協会や種牡馬所有者の方々の協力を得て実施している 「スタリオンシリーズ」 の創設に加え、 各自治体単位で競馬ツアーや競馬観戦ビールパーティを開催するなど、 さまざまな角度から北海道競馬をサポートしてきた。
 もちろん、 徹底した歳出削減も図っている。 最下級条件戦の1着賞金を例に取れば、 平成13年は36万円だったものを現在は20万円にまで削減し、 馬主、 厩舎関係者の方々にも相当の負担をお願いした。 また、 組織改革も進め、 人員合理化や開催経費の縮減も図ってきた。
 そうした努力の積み重ねによって、 平成15年は発売総額110億7000万円 (前年比12億5000万円増)、 翌16年は113億円 (前年比2億3000万円増) を記録し、 中央競馬、 地方競馬のすべての主催者が発売額の減少に苦しむなか、 唯一、 2年連続増収を成し遂げている。 その結果、 平成13年には28億円もの単年度赤字を出していたところを、 平成16年には単年度赤字を13億円にまで改善した。
 とはいえ、 単年度で赤字を出さない水準にまで売り上げ回復を図るのは、 現状ではほぼ無理に等しい。 そういったなかで、 5カ年計画の最終年度に発売額が減少して計画の不達成が現実化したことに対し、 馬産地の危機意識は高まりつつある。
 発売額の伸び悩みの主原因がどこにあるかは、 私には判然としない。 ただひとつ言えるのは、 本年度は主催者として特にこれといったテコ入れ策を打ち出し得なかったことだ。 つまり今年の改善策は、 昨年まで行ってきた試みを焼き直して実施しただけだった。 果たして、 いかなる新規事業でファンを獲得できたかは正直わからないが、 昨年と変わりない事業展開では、 新たなファンの獲得も売り上げアップもままならず、 結果として漫然と今年の発売推移を見守ることになってしまった。 現在の北海道競馬の状況では、2年連続の増収をその後の自律的成長につなげるためには、 やはり前年にも増して斬新な取り組みが必要だったように思う。
 9月29日、 北海道の競馬のあり方を討議してきた道知事の諮問機関・道地方競馬運営委員会は 「北海道競馬を継続させることは有意義」 との内容で建議書をまとめ、 知事に提出した。 建議書は、 この5年間の道競馬の取り組みを評価したうえで、 さらなる運営改善を図り、 馬産地にも応分の負担を求めながら競馬を継続する意義を道に訴える内容となっている。 「競馬の継続」 が答申されたとはいえ、 現状の厳しさに変わりはなく、 北海道ではまだ、 来年以降の運営の指針を発表していないが、 この答申に関係者は皆、 賭けているといっても過言ではない。
 継続が決まったとしても、 北海道競馬は、 現状を踏まえたうえで、 さらなる増収と赤字削減のために前向きな取り組みを継続していかなければならない。
 10月11日に函館にミニ場外がオープンした。 建物建設に加えて馬券発売などの運営面も民間に委ねたモデルケースとなるミニ場外であり、 今後の成り行きに注目が集まる。 そのほか、 道外発売の拡大、 JRAの受託発売、 2歳戦に特化した番組の一層の充実、 ミニ場外のスポーツカフェ化など、 まだまだやり残した宿題は多い。
 関係者が一丸となって知恵を絞り、 北海道競馬を守り立てていかなければならないのだ。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。