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■驚愕の第8回セレクトセール−上場馬の質と実績を再認識

 
7月11、 12日の両日にわたって開催された 「セレクトセール2005」 は、2日間の売却総額83億7060万円 (消費税込み)、 売却率80・1% (上場馬302頭中242頭売却) と、 売却総額、 売却率とも従来の成績を塗り替えるレコードをたたき出した。
 微力ながらセールに関わったスタッフの一人として、 この数字のすごさには驚くばかりだ。
 セレクトセール開催に当たっては、 毎年度、 関係スタッフが綿密な打ち合わせを行いながら、 ご来場されるお客様が気持ちよくセールに参加していただけるように、 小さな改善を繰り返してきた。 施設、 食事、 接客、 鑑定、 受付、 契約、 待機厩舎の管理、 上場馬の入退場、 駐車場への誘導にいたるまで、 各部門の仕事においてより良い方法がないかを検証し、 点検チェックを怠らない。 その積み重ねが、 セレクトセールの根幹を下支えし、 スムーズなセール進行につながっている。
 セールが終了したあとも、 7月末には担当部門の関係者と個別に打ち合わせをして、 翌年度以降のセール運営に向けての意見集約を図っている。 これらの意見をベースに、 来年の開催に向けて、 よりいっそうの努力を続けていきたい。
 それにしても、 今年のセレクトセールの開催成績は大変な数字だったと思う。 御購買される方々の大多数は、 当然ながら馬主の方々ではあるが、 このセールへの思い入れには本当に頭が下がる。
 その一方で、 キングカメハメハ号、 ディープインパクト号と、 2年連続でダービー馬を輩出したこのセールの実績もものすごい。 セールに参加された方々の眼前を、 生後数カ月の幼駒とはいえ、 未来のダービー馬2頭が通り過ぎたのは紛れもない事実なのだ。 今年のカタログの表紙には、 ディープインパクト号のほか、 年度代表馬のゼンノロブロイ号をはじめ、 アドマイヤグルーヴ号、 アドマイヤマックス号、 ユートピア号といった各世代、 各カテゴリーを代表する名馬の勇姿が飾られており、 当セールに上場された馬の質の高さと実績を再認識させられる。
 今年で8回目を迎えたセレクトセールは、 セール出身馬の活躍がセールの成功を決定づけ、 「良質馬を手に入れるには、 セレクトセールに参加しなければ」 という流れを決定的にした。
 これらの流れは、 馬産地の当歳馬市場の流れも大きく変え、 「種付けを早くして早生まれの丈夫な産駒を作る」、 「良血当歳馬は、 まずはセレクトセールへの上場を申し込む (上場決定に至るのも難関ではあるが)」 といった枠組みが形作られた。 当歳の販売の面でも、 以前多かった出産直後の庭先での売買契約締結はかなり少なくなっているようで、 日高地区の大手牧場がセレクトセールに上場するケースも目立ってきている。
 また、 社台スタリオンステーション繋養種牡馬への信頼度が高いのも、 セレクトセールの特徴のひとつといえるかもしれない。 今年のセールにおけるシンボリクリスエス号の初産駒への評価の高さは、 来年のセレクトセールに多くの初年度産駒の上場が予想されるキングカメハメハ号やネオユニヴァース号への人気の集中を今から暗示しているようにも思える。
 逆に少し残念だったのは、 日高ではブライアンズタイム号に次ぐ存在に成長しているタイキシャトル号やワイルドラッシュ号といった種牡馬の産駒への評価が、 産地サイドの意気込みとセールでの見立てにやや温度差があったことで、 主取もいくつか見受けられた。 このあたりは、 上場する牧場側としては、 セレクトセールに参加される購買者の方々の血統面での嗜好を吟味する必要があるようだ。
 何はともあれ、 今年のセレクトセールも無事終了した。 セールの翌日、 大井競馬場で行われた交流GI・ジャパンダートダービーでは、 第5回セール出身のカネヒキリ号が圧勝し、 オーナーの金子真人様は、 ディープインパクト号とあわせ、 芝、 ダート両部門のダービー馬を同世代で所有することとなった。
 2頭のダービー馬が上場された3年前の 「セレクトセール2002」 の上場馬は277頭で、 売却された馬は186頭だった。 購買登録をされた方は250名あまりだったが、 そのうちのお一人が今年のダービー馬2頭を探し当て、 ご自身で落札されたのだ。 まさに痺れるような巡り会わせだが、 その劇的な出会いをセレクトセールは見事に提供したのである。 当セール運営に微力ながら関わり、 その場に立ち会えた自分自身を誇らしく思う。 

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。