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■日本の競馬で成功する法 - セレクトセールで当歳馬を買おう!-

 7月12日、 13日の両日開催されたセレクトセールは、 上場馬308頭中234頭が落札され、 売却率76%、 落札総額は昨年より6億円多い76億8200万円 (税抜価格) と過去最高額を記録した。
 4億9000万円 (税抜価格) で国内最高落札価格を更新した 「エアグルーヴの2004」 を筆頭に1億円以上の馬が8頭誕生し、 落札平均価格は3282万円、 落札中間価格は2425万円という成績を挙げた。 今回の中間価格は過去7回のセールのなかで2番目に高く、 サンデーサイレンス産駒のいないセールでのこの高水準の価格は、 今年のセールが実質的には一番活況を呈していたことを物語っているといえる。
 サンデーサイレンス産駒のいない最初のセレクトセールにおいて、 昨年度の落札レコードを更新することなど、 私には到底考えられなかったし、 実際のところ50億の販売実績が残せれば上々ではないかとの観測も流れていた。 それがこの結果となったことには、 ただただ驚くばかりである。
 セレクトセール成功の最大の要因は、 何といっても 「日本の競馬で成功を収めるならば、 セレクトセールで当歳馬を購入するのが一番」 といった流れを完全に作り上げたことにある。
 この1年、 セレクトセール出身馬から、 ダービーグランプリ快勝のユートピア、 エリザベス女王杯優勝のアドマイヤグルーヴ、 天皇賞・春優勝のイングランディーレ、 そしてNHKマイルと日本ダービーを連覇したキングカメハメハといったGI優勝馬が続出し、 GII、 GIII優勝馬に至っては枚挙にいとまがない。 特に日本ダービー馬の誕生は、 競馬サークル内のすべての人間にとって、 セールの評価を決定的に高めたことと思う。
「GI馬を購入するなら、 セレクトセールへ行こう!」 ということで、 多くのバイヤー、 関係者の方々に足を運んでいただくこととなった。 購入資金と馬を選ぶセンス、 そして幸運と仲良くできれば、 セールに参加した誰もがGI馬のオーナーになる可能性がある。 そんなセールに成長し、 実際に素晴らしい実績を挙げていることが、 まずは成功の最大要因といえるだろう。
 一方、 本年のセール結果をつぶさに見ると、 新しいバイヤーの方々が新たにセールに参入し、 しかも積極的に落札されていたことに気付く。 情報通信分野や外食産業などの事業で成功を収めた方々がこのセレクトセールに新規参入したことが、 今回のセール成功に資したところは極めて大きかった。
 北海道、 特に日高にいると、 地元経済はどん底を這って好転の兆しは何もないし、 馬産関係では日々嫌なニュースや噂を耳にすることも多いが、 このセレクトセールの会場にいると、 本当に別世界のような気がして驚きを隠せない。 そういったなかでの新たなバイヤー層の出現は、 セレクトセールにとどまらず、 競馬サークル全体に好影響を与えてくれることだろう。
 セール運営スタッフの並々ならぬ努力も、 セレクトセールを根底から支える重要な力となっている。 「ご来場いただいたバイヤー、 関係者の皆様に快適にお過ごしいただき、 気持ちよくセールに参加していただく」 ことを基本に据え、 会場設営から、 食事や飲物の手配、 席の配置、 受付契約業務、 そして鑑定業務に至るまで、 毎年事細かに検証してセールの運営方法を練り直し、 お客さまをお迎えしている。 この積み重ねがあるからこそ、 セレクトセールは日本最大のサラブレッド市場として、 その存在を揺るぎないものにしているのだと思う。
 また、 社台グループなど一部上場者の方々の、 バイヤーの皆様に対する親身のホスピタリティにも本当に頭が下がる。 競走馬の取引は、 結局は人と人との信頼関係の上に成り立つものであり、 お互いの信頼関係によって共有された思いは、 競走馬にも受け継がれてその成績に反映される。 社台グループのスタッフの献身的なホスピタリティやアフターケアによって、 お互いの信頼関係も醸成され、 バイヤーの皆様も安心して上場馬を落札できるのだと思う。
「商品や舞台装置がいかに良くても、 親身のセールスやアフターケアのないところでは、 商品は売れない」 ――私を含め、 他の上場者の皆様も肝に銘じておくべきことではないだろうか。
 しかし、 自画自賛ばかりもしていられない。
 サンデー産駒なしにこれだけの落札実績を残したのは驚嘆に値するが、 今後、 これらの当歳馬が競馬場で活躍してくれることを心より祈りたい。 セールでご購入いただいた馬が期待通りの活躍をしてくれることが、 競走馬オーナーの最大の楽しみでもあるし、 私を含めセールに関わった者にとっても、 それが何よりうれしいことであるのは変わりはない。
 セールの成功に慢心することなく来年を見据え、 日々の仕事に励んでいきたいと思う。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。