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■馬産地の6月

 「第71回日本ダービー」は、4コーナーで先頭に立ったキングカメハメハが後続馬を寄せ付けずに2分23秒3のダービーレコードで圧勝。セレクトセールから初のダービー馬が誕生した。関係者の皆様、本当におめでとうございました。

 「競馬の祭典」が終わり、6月になった。北海道の一番美しい季節の始まりだ。草木は一斉に花を咲かせ、木々の新緑はまばゆいばかりだ。梅雨入りした本州とは打って変わって、からりと晴れ上がる日が多く、爽やかで明るい日差しが燦燦と降り注ぐ。

 月が変わって種馬場も、一時の喧騒状態がうそのように静かになってきた。5月末の段階で種牡馬の種付けもほぼ9割がた消化し、本年の動向もあらまし見えてきた。
 例年3000頭を超える牝馬を集める社台スタリオンは、ダンスインザダーク、フジキセキ、アグネスタキオンといったサンデーサイレンスの後継種牡馬や、クロフネ、シンボリクリスエスといった新進気鋭の人気種牡馬が多頭数交配をこなした。もちろん、他の種牡馬も例年同様の人気を集め、前年実績並みの種付け頭数となる模様だ。
 日高地区で100頭を超える牝馬を集める人気種牡馬は、おおむね2パターンに分けられるようだ。 そのうちのひとつは、産駒成績が良く、かつ種付料が受胎条件150万円前後の中堅種牡馬だ。バブルガムフェロー、マーベラスサンデー、アジュディケーティング、ティンバーカントリー、マヤノトップガンらがこの条件に当てはまる。各馬とも産駒成績が出ていて、産駒販売のメドが立ちやすいといったところが人気を集める理由なのだろう。
 種付料がリーズナブル(受胎条件20万円から50万円程度)で、かつ将来性を買われた新鋭種牡馬にも人気が集まっている。トニービンの後継ミラクルアドマイヤは、初年度産駒のカンパニーやジョーファングの活躍で、今年150頭以上もの花嫁を迎える人気種牡馬に変身した。新種牡馬サウスヴィグラスや、サンデーサイレンス産駒のニューイングランドも100頭オーバーの種付けをこなしている。

 「セレクトセール」に上場される産駒の顔ぶれも決定した。480頭を越える申し込みの中から300頭強の上場馬を選定する作業は大変なものだったが、サンデーサイレンスという絶対的なエースの産駒は不在ではあるが、今年もまたレベルの高い逸材が揃った。
 父馬順に上場数の多い産駒を眺めてみると、クロフネの28頭(前年17頭、カッコ内以下同じ)を筆頭に、アグネスタキオン25頭(22頭)、ダンスインザダーク24頭(13頭)、フジキセキ16頭(17頭)、フレンチデピュティ16頭(24頭)といった序列となる。
  やはりサンデーサイレンスの後継種牡馬と、将来を嘱望される新鋭種牡馬の産駒が数多く上場されるようだ。
 また、日高の至宝ブライアンズタイムが10頭(7頭)、軽種馬協会のトップ種牡馬フォーティナイナーが12頭(9頭)と、前年より上場数を増やしている。
 そのほか、持ち込み馬の産駒が前年度より15頭も多い28頭も上場される見込みで、バラエティに富んだ多士済々の顔ぶれとなり、大変エキサイティングなセールとなりそうだ。

 6月になって改善傾向が明確になったものに、ホッカイドウ競馬の好調な売り上げがある。6月3日までの本年度開催17日間の総発売成績は、26億7587万円(計画比プラス3億7014万円、16%増)といった数字を残している。昨年、12年ぶりに売り上げアップを達成したホッカイドウ競馬だが、本年は昨年をさらに上回る好調な滑り出しとなった。
 皐月賞、ダービーと続いたこの春の牡馬クラシック戦線は、北海道では地元・ホッカイドウ競馬在籍のコスモバルクが大変な人気を集め、そのコスモバルク効果がホッカイドウ競馬の人気を下支えしている。
  また、馬産地を挙げて多彩なホッカイドウ競馬支援事業を行っているが、そのうち勝ち馬の馬主に種付権利を贈呈する「スタリオンシリーズ」は、場間場外発売、特に南関東で馬券を発売したときにファンの大きな支持を受けているという。
 ホッカイドウ競馬の現状を考えると、まだまだ予断は許さないが、このままの勢いでこの1年を乗り切って欲しいと思う。

 今月下旬には、牧草刈りも始まることだろう。そして北海道の短い夏が到来し、セレクトセールが開催される。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。