H15.12.29





■売り上げアップを達成したホッカイドウ競馬

 存廃の岐路に立たされていたホッカイドウ競馬。10月30日に本年度の全日程が終了し、84日間の成績がとりまとめられた。
 今期の発売総額は、110億7462万円。計画より5348万円不足したものの、計画比99.5%を達成し、昨年実績より12億5000万円余りも売り上げをアップさせ、平成4年度以降続いていた前年度比マイナスの苦境から12年ぶりに抜け出す快挙となった。中央競馬はもちろんのこと、依然として前年対比マイナスの売り上げ基調が続く地方競馬主催者の中にあって、前年対比12.8%の大幅増は、賞賛に値する。
 馬産地一丸となっての支援と、主催者の徹底した売り上げアップ作戦が、見事に結実し、今回の成果となったわけだが、本年度の成功のポイントとして、3点取り上げたいと思う。

 1つは、新式馬券(3連単)の人気が挙げられる。開幕当初7日間は、計画対比70%という散々なスタートとなったホッカイドウ競馬だが、4月下旬の新式馬券の発売以降、売り上げは明らかに回復基調となった。当初は、的中票数0票という「特払い」の珍事も発生し、マスコミにも大きく取り上げられ、宝くじ的な馬券として人気を集めることとなった。(さすがに、開催中盤以降はファンも3連単の買い方をマスターし、配当も落ち着いてきたが。)予想が難解な3連単だが、コアなファンが多いホッカイドウ競馬で大いに支持されたことが、まずは業績回復の大きな要因として挙げられるだろう。
 2つめは、昨年から開設されたミニ場外。ホッカイドウ競馬では、Aibaの愛称を付けたミニ場外を5カ所設置し、馬券の発売を行っている。開設コストは、本格的な場外施設とは比較にならないくらい安上がりだが、投下資本、発売コストに対し、売り上げはその規模と比較にならないほど大きい。商業ビルの一角に開設した自動発売機7台の苫小牧ミニ場外の売り上げと、JRA函館競馬場(売り場12カ所)での売り上げがほぼ同じ4億2000万円なのである。これなどは、他の主催者も参考としうるモデルケースになりうるのではないだろうか。ミニ場外5カ所全体で、14億5000万円もの発売総額を記録し、全体の売り上げの13%を占めたのである。
 3つめは、スタリオンシリーズを始め、産地一体となったホッカイドウ競馬支援事業。こられなくして、ホッカイドウ競馬の存続はあり得ない。JBC協会の全面的な支援のもと、種牡馬所有者の方から協力を得て施行しているスタリオンシリーズも、馬主やファンの関心を喚起する名物レースとして、すっかりホッカイドウ競馬に定着しているが、これを他主催者との相互発売に活用し、売り上げアップに結びつけることが出来た。
 かつての名馬の名を冠したレースは、特に首都圏のファンに支持され、今期のスタリオンシリーズ全体で、19億3000万円を稼ぎ出し、発売総額の18%を占めたが、うち南関東を始めとする他場発売で、9億7000万円を売り上げたというのだから驚きだ。
 その他、各自治体が主催したホッカイドウ競馬観戦ツアーや日高物産展など、催し物も数多く行われ、ホッカイドウ競馬運営改善対策室職員の粉骨砕身の活躍もあり、その結果が、今大きく花開いたと言える。

 ただ、ホッカイドウ競馬の現状は、手放しで喜べる状況ではない。売り上げアップが実現できたとはいえ、本年も10数億円の赤字決算となっており、今後は、さらなる売り上げアップと黒字転換を図らなければならない。また、現在の賞金水準は馬主の自己犠牲の上に成り立っていると言っても過言ではないくらいの低水準であり、もうホッカイドウ競馬で馬を使うのは限界だという馬主の声が一部にあるのも事実だ。
 それでも、ホッカイドウ競馬は守らなければならない。産地競馬を真にファンにも認知させ、心底共感を得るためにも、今後も馬産地の総力を結集してホッカイドウ競馬をサポートし続けなければならないと思う。今年の成功体験を来年に繋げ、主催者、産地一体となっての取り組みを新たなビジネスモデルとすべく、ますます強力に運営強化を推し進めなければならない。
 モエレエスポワール(札幌2歳S勝ち馬)や、外厩1号コスモバルク(ラジオたんぱ杯2歳S勝ち馬)等、今年のホッカイドウ競馬も強い2歳馬が多数出現し、スターホース候補も豊富である。既に来年度のスタリオンシリーズには、社台グループの協力種牡馬陣を始め、ブライアンズタイムやアフリートなど、トップ種牡馬の種付け権利の提供が決まっている。また、来シーズンは更に2歳戦に特化し、2歳三冠レース構想も先日発表されたばかりなのだ。
来年へ向けて、ホッカイドウ競馬は、既に走り始めている。

遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。