H13.8.25
■第4回セレクトセールを分析する。
コストパフォーマンスの高いセール
 本年で4回目となる「セレクトセール2001」が7月9日、10日の2日間にわたって開催された。運営スタッフとしてこのセールに関わってきた私にとっては、何もかもが初めてで驚きの連続だった第1回セールや、空前の超高額馬の出現に湧いた第3回セールが印象深い。
 今回のセールでは、過去3回の経験を踏まえ、購入馬の選択や競り上げに今まで以上に吟味を重ねたバイヤーの方々が、購入馬を1頭ずつ丁寧に摘み取っていくような、そんな雰囲気があったように思う。
 さて、「セレクトセール2001」をデータから見てみよう。


今回のセールでは、1億円を超える超高額馬は4頭と過去4回のセールでは一番少なかった。5000万円以上の高額馬に範囲を広げても24頭であり、昨年の32頭と比べて8頭も減り、売却頭数に占めるその割合も昨年度より6ポイントのダウンとなる13%だった。
 平均価格は昨年度より700万円ダウンの2792万円で、売却馬の中間値は2000万円と、こちらも2100万円だった昨年度より100万円ダウンしている。また、2000万円未満の売却馬は全売却馬の48%を占める99頭にのぼり、過去3回と比べると全体として割安感が漂うセールであった。
 一方、今セールのハイライトは、サンデーサイレンスの牡馬、ロッタレースの2001を巡って繰り広げられた、ドバイのシェイク・モハメド殿下の代理人ジョン・ファーガソン・ブラッドストックと、アイルランドのクールモアグループの激しい一騎討ちだろう。1億9000万円まで続いたこの競り合いは、日本のセリ市場において初めて世界のトップバイヤー同士が激突したもので、このセールが世界的な市場として重要な位置づけにあることを、再度認識させられた瞬間だった。
 全体的なセールの雰囲気としてはある種の落ち着きがあり、初日のセールがスタートしても最初のうちは何か模様眺めの雰囲気が漂って、昨年までのようなダイナミックに価格がつり上がることもなく、淡々と進行していった感がある。結局、初日の売却率は64%台にとどまった。ところが翌日は、今セールに初めて参加したと思われる新たなバイヤーの購買もあって一転して活発な競り合いが続き、その結果、2日目の売却率は68%と開催4回目にして初めて初日よりも高い数字を記録することになった。
 一方、今回の上場馬に超目玉商品はなくても、血統レベルは相当上がってきているように思う。一例を示せば、名簿掲載300頭のなかで、上場馬の母または兄弟が重賞競走を勝っている馬(本馬のごく近い近親に極太字で記された馬)は68頭と全体の23%を占め、昨年度の50頭に比べて大きく増加しているのだ。上場馬の4頭に1頭の母または兄弟が重賞勝ち馬だというのはすごいことだと思う。上場馬選定委員会でも、上場馬の絞り込みに苦慮し、意見の割れた馬については1頭1頭について票決し、上場か否かを決定したとのことだ。
 以上、今年のセレクトセールの結果を分析すれば、良血馬が多数上場されていたにもかかわらず、売却価格が低く抑えられたことになるわけだから、バイヤーの方にとってはコストパフォーマンスに優れたセールだったといえるのではないだろうか。見方を変えれば、予測される回収金額(競走収得賞金)に見合った投資額(購入価格)だったともいえることになり、四度の経験を経て市場価格が妥当な線に収束されてきたように感じられた。
 先日、セールを準備、運営した現場スタッフが再び参集し、会場、受付、鑑定など持ち場ごとに今年のセールの結果をチェックし、問題点を洗い出した。バイヤー、コンサイナーの方々双方により満足していただける「セレクトセール」を提供するべく、来年に向けての準備が早くも始まったのだ。
 セールは生き物で、毎年毎回、そのときどきによって流れが絶えず変化しているように感じられる。本年の成果は現在の競馬を取り巻く状況を考えれば、まずまずのものであったと思うが、来年以降はどうなっていくのか皆目わからない。しかし、良質馬を適正価格で提供する姿勢を持ち続けること、セールの運営に反省と改善を積み重ね続けていくことが、これからの「セレクトセール」成功の近道であることは間違いないと思う。
遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。