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■コラムバックナンバー
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■人気を集める「ダート種牡馬」

  ディープインパクトを父に持つG1・2勝馬ミッキーアイルが、急きょ社台スタリオンステーションにスタッドインし、この春の新種牡馬の陣容もほぼ固まった。新種牡馬の牝馬獲得競争は、これから開催される種牡馬展示会でピークを迎えるが、その一方で、中小牧場の多い日高では、ある特性を持った種牡馬の需要も、依然として大変根強いものがある。それは砂競馬に強い(と思われている)「ダート種牡馬」の需要である。  昨年のサイアーランキング(総合)を眺めると、ダート部門はゴールドアリュールがトップに立ち、以下、キングカメハメハ、サウスヴィグラス、クロフネ、パイロ……と続く。トップ10には、集計の対象となる産駒が誕生した当時に、日高で供用されていた種牡馬が5頭もランクインしている。ターフ(芝)を含む総合ランキングでは、2頭のランクインにとどまっていることと比較すれば、日高供用ダート種牡馬の健闘ぶりが際立っていると言えるだろう。  ダート部門で首位となったゴールドアリュールの本年度の種付料は、受胎300万円と、種牡馬成績に相応しい価格設定がなされているが、ダート種牡馬の種付料のボリュームゾーンは、受胎50〜80万円あたりにある。ヴァーミリアン(受胎50万円)、エスポワールシチー(受胎50万円)、カジノドライヴ(受胎80万円)、シニスターミニスター(受胎80万円)、スマートファルコン(受胎50万円)、プリサイスエンド(受胎50万円)、フリオーソ(出生50万円)、ベルシャザール(受胎50万円)といったところが該当する。
 価格的にも手頃なダート種牡馬だが、中央、地方のダート路線が整備されるにつれ、ターフを中心に活躍馬を送り出す種牡馬とは一線を画し、独自の地位を築くようになった。その大きな要因としては、長引く馬産不況の中で、種付料を抑えて良い競走馬を生産し、販売につなげたいという日高の中小牧場の思惑があった。JRAにおいても一部のトップホースを除けば、ダートを中心に走る競走馬は数多いが、その中でも上級馬に成長すれば、地方競馬で開催される交流重賞を使って高額な賞金を獲得することもできる。また、地方競馬を中心に馬を走らせる馬主もいる。地方競馬の主戦場はもちろんダート競馬であり、手頃な価格で購入できるダート種牡馬の産駒は、販売者・購買者双方の思惑に合致する。また、不況下で馬が売れず、やむなく生産者が自己所有馬として地方競馬で走らせる場合に、ダート種牡馬の産駒は、馬場の適性不一致を避けることにもなり、ダート種牡馬はリスクヘッジの手段として、貴重な存在なのだ。
 割安で中小生産者の戦略に合致したダート種牡馬は、現役時のネームバリューがあれば、初年度から相当の需要があり人気を集める。今年もアジアエクスプレス(受胎60万円・満口)、ホッコータルマエ(受胎80万円・満口)、ダノンレジェンド(受胎50万円)といったダート種牡馬がスタッドインしたが、うち2頭が既に満口、ダノンレジェンドも100頭オーバーの種付けを予定しているという現況に、象徴的に表れていると言えるだろう。  但し、誤解を恐れず言えば、ダート種牡馬市場はまだまだ発展途上である。日本産馬の海外ダート競馬への遠征結果を見ても、現有種牡馬勢力では、まだ超一流馬を生み出すには少し足りない感じがする。本家アメリカのダート競馬と比較すると、まだ能力に開きを感じる日本のダート競馬ではあるが、逆に言えば、まだまだ伸びしろは十分にあり、今後の種牡馬導入の展開に注目していきたい。 ※コラム執筆日は2月1日
遠藤 幹

※このコラムは、(社)日本競走馬協会の会報に掲載されている「日高便り」を、協会の許可を得て掲載したものです。